売手からの代金請求について、取引当事者の合意の下で買手が振込手数料相当額
を請求金額から差し引いて支払うことで売手が負担する商慣行があります。
この場合、売手側では1.振込手数料を支払った(支払手数料)または2.売上の値
引きを行った(売上のマイナス) として処理を行うことが一般的です。
売手が振込手数料相当額を売上値引きとする場合には、売上げに係る対価の返還
等を行っていることとなりますので、原則として、買手に対して適格返還請求書を
交付する必要がありますが、一般的には、こうした振込手数料相当額は1万円未満
となると考えられますので、その場合は適格返還請求書の交付義務が免除されるこ
ととなります。
なお、売り手が負担する振込手数料相当額について、経理処理を支払手数料とし
つつ、消費税法上、売上げに係る対価の返還等とすることもできますが、この場合
であっても、売手が買手に対して売上げに係る対価の返還等を行った場合の適用税
率は、売上げに係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡等の適用税率に従いま
す。そのため、軽減税率(8%)対象の課税資産の譲渡等を対象とした振込手数料
相当額の売上値引きには、軽減税率(8%)が適用されます。
この点、会計処理上は支払手数料のコードを売上げに係る対価の返還等と分かる
ように別に用意するといった、通常の支払手数料と判別できるように明らかにする
対応が考えられます。
(参考)
国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」
問30 売手が負担する振込手数料相当額に係る経理処理の変更