電子取引と保存の必要性

 電子取引で受け取った取引情報のうち、同一内容を書面でも受け取った場合、それぞれの保存をどうすべきか判断に迷いがちだが、電子データと書面の取引情報どちらを製本とするかにより対応は異なります。 

  保存義務の対象となる取引情報とは、取引に関して受領し、または交付する注文書や契約書 送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に、通常 記載される事項を言う。 電子データでやり取りしたものが対象で、書面でやり取りしたものをデータ化する必要はないが、取引先によっては、電子データの授受の不具合を懸念し、書面で同一内容を送付してくるケースもある。

  取引先から電子データと書面の両方を受け取った場合には、その取引情報に着目し内容に差異があるかどうか が ポイントとなります。 例えば、請求書については、通常、取引終了後の確定情報に基づいて作成されることから、電子データと書面の両方を受け取ったとしてもその内容に差異はないと考えられる。この場合、書面を製本 として取り扱うことを 取引先との間で決めていれば、実務上は、書面の製本の保存のみで足りる。

 ただし、取引先から電子データと書面の両方を受け取り、署名を製本とする場合であっても、補足や変更が生じて 取引情報が書面と同一にならない場合は、保存対応において留意が必要です。例えば、注文書について電子データと書面の両方を受け取り、後日、注文内容の補足をメールのみで受領した場合、そのメールに書面を保管する取引情報が含まれていれば 書面 とメールを含む電子データの両方の保存が必要となります。

 一方、受領したメールの内容が書面の注文内容に大きく影響するものでなければメールの保存は不要となると考えられます。(税務通信No.3797) 

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