「生前贈与で節税したいけれど、『暦年贈与』と『相続時精算課税制度』のどちらを選べばいいの?」
「税制改正でルールが変わったと聞いて、損をしないか不安……」
生前贈与を検討する際、多くの方がこの2つの制度の選択で悩まれます。特に近年の税制改正により、制度の使い勝手が大きく変わりました。
この記事では、専門用語をできるだけ使わず、「どちらの制度を選べば失敗しないか」をわかりやすく解説します!
1. そもそも2つの制度はどう違うの?(比較一覧)
生前贈与のやり方には、大きく分けて2つの「ルート」があります。
- 暦年(れきねん)贈与:毎年110万円まで非課税でコツコツあげる方法
- 相続時精算課税(せいさんかけい)制度:まとまった財産を渡し、将来の相続時にまとめて税金を精算する方法
まずは全体のイメージをパッと確認してみましょう。
| 項目 | 暦年贈与 | 相続時精算課税制度 |
| 年間の非課税枠 | 毎年 110万円 まで | 毎年 110万円 まで (さらに合計2,500万円まで贈与税が非課税) |
| あげる人・もらう人 | 誰でもOK (孫や子の配偶者も可) | あげる人:60歳以上の親・祖父母 もらう人:18歳以上の子・孫 |
| 亡くなった時の持ち戻し | 亡くなる前 7年分 の贈与は 相続財産に戻されて課税される | 年110万円以下の分は持ち戻しゼロ! (2,500万円枠の分は相続時に精算) |
| 一度選んだあとの変更 | いつでもやめられる・変更できる | 一度選ぶと「暦年贈与」には戻せない |
2. 税制改正で何が変わった?
「前聞いた話と違うかも?」と思われた方は大正解です。近年、ルールが大きく見直されました。
① 暦年贈与:「駆け込み贈与」のルールが厳しくなった!
これまで「亡くなる前3年間」に行われた贈与が相続税の対象に連れ戻(持ち戻)されていましたが、「亡くなる前7年間」へと対象期間が延びました。
高齢になってからの暦年贈与は、節税効果が出にくくなっています。
② 相続時精算課税:「年110万円の非課税枠」が新設されて使いやすくなった!
これまでは「一度使うと毎年申告が必要で使いにくい」と言われていましたが、新たに「年間110万円の非課税枠」が追加されました!
この枠内(年110万円以下)であれば申告も不要で、将来亡くなった時にも相続財産に戻されません。
3. あなたはどっち?簡単チェックリスト
どちらを選ぶべきかは、「誰にあげるか」「何を与えるか」「あげたい人の年齢」によって決まります。
「暦年贈与」がおすすめな人
- 「孫」や「子の配偶者」に贈与したい人(※孫や子の配偶者への贈与は、原則として「7年連れ戻し」の対象外となるため非常に有利です!)
- 贈与する側の年齢がまだ若く、10年以上の長期にわたってコツコツ渡せる人
- あげる金額や時期を、毎年自由に決めたり中断したりしたい人
「相続時精算課税制度」がおすすめな人
- 贈与する側の年齢が高く(75歳以上など)、7年連れ戻しのリスクが高い人
- アパート・マンションなどの「収益不動産」を渡したい人(家賃収入が子ども・孫の口座に入るようになり、親の財産が増えるのを防げます)
- 自社株や、将来値上がりが確実な土地・株を早めに渡したい人
- 住宅資金や事業資金として、一度にまとまったお金(数千万円単位)を渡したい人
4. これだけは知っておきたい!失敗しないための3つの注意点
後から「こんなはずじゃなかった……」と後悔しないために、以下の3点は必ず押さえておきましょう。
① 精算課税を選んだら「暦年贈与」には一生戻れない!
「やっぱり暦年贈与に戻したい」と思っても、同じ親子・祖父母の間では一生涯撤回できません。慎重に判断する必要があります。
② 自宅の土地をあげる時は注意(小規模宅地等の特例)
相続時精算課税を使って贈与を受けた土地は、将来相続が発生したときに使える「自宅土地の評価額を最大80%下げる特例(小規模宅地等の特例)」が使えなくなります。自宅土地の生前贈与は特に注意が必要です。
③ 「あげる相手」ごとに使い分けるのがコツ!
「長男には相続時精算課税を使って収益物件を渡し、孫には暦年贈与で毎年お小遣いを渡す」といったように、もらう人ごとに制度を組み合わせるのが一番賢い生前贈与のやり方です。
わが家の場合はどうすればいい?
生前贈与は、「110万円まで非課税だから」と安易に始めると、将来の相続税で思わぬ損をしてしまうことがあります。
- ご家族構成(お子さま・お孫さまの人数)
- お持ちの財産の種類(現金、自宅、収益不動産、株式など)
- 贈与される方の年齢やご健康状態
これらを総合的にシミュレーションした上で、ご家庭にぴったりな計画を立てることが失敗しない近道です。
「うちはどっちを選べばお得になる?」「名義預金だと指摘されないか心配」など、少しでも気になることがございましたら、ぜひお気軽に当事務所までご相談ください!